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不器用な夫
第16章 背徳



無言のままだった…。

最上階で降りるはずのエレベーターを1つ下の階で降りる。

僕の部屋の真下にある公平の部屋。

玄関に入るなり僕は壁に背中を叩き付けられて軽い痛みが全身に走る。

しかも宙を浮いた僕の両手首を乱暴に掴んだ公平が僕に万歳をさせて、その壁に押し付ける。


「乱暴だぞっ!」

「興奮したいのでしょう?」


意地悪に公平が笑う。

ゾクリとする。

どうも僕にはその癖があるらしく、荒々しく扱われる方が興奮が増す。

いや…、多分、国松の男は皆がそうなのだろう。

清太郎さんは国松家の男は興奮に我を忘れて身体を傷付けたがると言っていた。

公平は僕のそういう癖を見抜いてる。


「坊っちゃまを勃起させるだけですか?」

「当たり前だ。」

「酷い人だ…。」


僕の両手首を押さえたまま公平が自分のネクタイで僕の腕を縛り上げる。


「公平…。」


次の瞬間には僕の身体が返されて壁に胸が押し付けられた。

本当に乱暴だ…。

背中にぴったりと公平の逞しい身体が密着する。


「ほら…、どうして欲しいのか…、言わないと…、ずっと、このままですよ。」


耳元で囁く声に身震いする。

ぐいぐいと壁に押し付けられる股間…。

耳はゆっくりと公平に甘噛みをされて全身がカッと熱を帯びる。


「勃起させるだけだ…。」

「どんな風に…?」

「いつも、やってただろ?」

「まずは、ここからですか?」


Yシャツのボタンが外されて肌着のTシャツを公平が捲り上げる。

裸に晒された胸が冷たい壁に押し付けられる。


「んっ…。」


熱を帯びる身体が冷やされてますます加熱する。


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