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不器用な夫
第16章 背徳



湯船に浸かればハコがそっと欠伸をする。


「やはり公平に…。」

「要らない…、要さんと2人で居たいの…。」


ハコがしがみつく。

自分が行った背徳行為に胸が痛くなる。

またハコに秘密が増えた…。

背徳感に苛まれる。

その背徳のせいでハコを藤原家に連れて行く言い訳すら出来なくなった。

僕は僕のやり方でハコを愛するしかない。

ハコの身体中を撫でてハコにキスを繰り返す。


「要さん…、逆上せちゃう。」

「ハコと離れたくないんだ。」

「ハコも要さんの傍に居たい。学校だと離れ離れで寂しいの…。」

「だからってノーパンという、とんでもない忘れ物は無しだよ。」

「ごめんなさい。」


コロコロと可愛くハコが笑う。

可愛いだけのハコをお風呂から出してハコの為に食事の用意を手伝う。


「要さんっ!お味噌汁は沸騰させちゃダメっ!」

「そうなの?」

「このお魚…、もう焼けたと思う?」

「包丁で切ってみたら?」


西京漬の魚の切り身の火加減がわからない。

いんげん豆の胡麻和え、肉じゃが…。

味噌汁…。

多分、ちゃんと出来たとは思う。

不器用と天然が作る料理…。

ハコは本当に幸せそうな顔でそれを食べる。


「2人で作って2人で食べる食事ってハコには最高に幸せなの。」

「僕は温めただけだよ?」

「それでも、要さんが傍に居てくれるだけで全然違うんだよ。」


食事の間中、満足そうな笑みを見せるハコに僕自身も満足だと思う。

後片付けは僕がする。

ハコはもう船を漕いでるからだ。


「先にベッドに行きなさい。」

「やだ…、要さんと行く…。」


何度も目を擦り子供のようなハコに笑う。


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