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不器用な夫
第16章 背徳



明日は試験前で午前中授業で終わる。

明日を乗り切れば3連休に入る。

問題は明日の午後にある職員会議…。

さすがにそれだけはパスをして休むしかなかろうと考える。

北川先生の様な男にフェロモンを嗅がせて発情された日には僕の方が死にたくなる。


「坊っちゃま…。」


学校の近くで公平が不安そうな顔を向ける。


「心配ない。行って来る。」


少し熱を帯びた身体で出勤した。

学校はいつもと変わらない。


「あら、国松先生。顔色が…。」


目敏い森下先生が僕を呼び止める。

男性教員がウロウロする職員室にダラダラと居座りたくない僕は


「疲れてるだけです。ちょっと授業前の準備があるので失礼します。」


と早々に職員室から逃げる羽目になる。

まだ…、なんとかなる範囲だ。

僕自身が気持ちを鎮めて落ち着けば徐々に収まってくれるはず…。

今までの経験だけで判断して日常生活を送る。

余計な興奮をしなければ…。

自分の考えの甘さを思い知るのは学校から我が家に帰ってからの事だ。


「おかえりなさいっ!」


弾む声でハコが僕に飛び付いて来る。


「ただいま…。」


ハコ可愛さにその額にキスをする。


「試験勉強は進んでる?」

「補習は絶対にありません。」


僕の夕食の用意をしながらハコが口を尖らせる。


「要さん…、もう体調は良いの?」


夕食を食べながらハコが僕の心配をする。

朝よりは随分と楽にはなった。


「うん…、もう大丈夫だよ。今週は色々とあり過ぎて疲れが出ただけだ。」

「なら…、ご飯の後はハコと一緒にゆっくりとお風呂に入ろうね。」


ハコが可愛い笑顔をする。

ハコとお風呂…。

大丈夫だよな?

その油断が仇になる。


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