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不器用な夫
第2章 執事



その事を踏まえて公平は学校まで徒歩で5分ほどの距離で車を停めて僕を降ろす。

僕は公平を振り返る事なく学校へと向かう。


「先生、おはようございます。」


僕と同じように学校の手前で車を降りた学生達が丁寧に挨拶をしながら僕の横をすり抜ける。


「おはようございます。」


僕はその学生達の中でハコの姿を探す。

無事に着いたのだろうか?

ハコはすぐに遅刻する。

学校へは遅刻しない時間に到着をしてるはずなのに、ハコは


「正門からの桜並木がとても綺麗でしたから…。」


と桜が咲く季節は毎日のように遅刻した。

そうやって遅刻するハコを探す僕に突き刺すような視線を感じて僕はその視線の主に視線を返す。


「白鳥さん、おはようございます。茅野君に何かありましたか?」


わざとらしく僕はその人に声を掛ける。

白鳥が学校の敷地内になる正門の内側から僕を睨むようにして僕を待っていたからだ。


「国松先生…、おはようございます。」


ニヒルで爽やかな笑顔を僕に向ける白鳥だがその目は全く笑ってない。

ハコの担任だと僕が挨拶をしたその日から白鳥はずっと僕に対して刺すような視線だけを見せ続ける。

その視線を感じるたびに僕はピリピリとした感覚を味わう事になる。

なるほど…。

少なくとも茅野家では3年も前から国松家へハコが嫁ぐ事を視野に入れてた。

当然だがハコ付きの執事である白鳥はずっと僕の事を調べ尽くし、自分の主に相応しい相手かを探って来たのだと思う。

その白鳥が一段と目付きを鋭くして僕を射抜くように見る。


「どうやら、うちのお嬢様を国松先生はお気に召さなかったようですが…。」


白鳥が僕に近付きながら呟くように言う。


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