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不器用な夫
第23章 教師
これ以上、学生に馬鹿にされない為と北川先生から逃げる為のホームステイ…。
理由はともかく、正しい事だ。
「頑張って下さいね。」
そう言って森下先生を励ます。
「ええ、ほら、国松先生…。ネクタイが曲がってますよ。」
わざとらしく森下先生が僕のネクタイの歪みを直す。
「では、失礼します。」
森下先生に頭を下げて職員室を出た。
ついでに新巻先生の顔を見てやろうと思い保健室に顔を出す。
「何しに来たの?」
素っ気ない新巻先生に苦笑いをする。
「今日から2ヶ月も会えなくなるのに新巻先生は冷たい人ですね。」
「だって私は夏休みも登校するもの。専門教員の国松先生みたいなお気楽な夏休みとは行かないわ。」
部活がある為に出勤する必要のある新巻先生。
部活に熱心な学生などほんの一部の学生だけだが1人でも学生が登校するならばと新巻先生は保健室で待機する責任感の強い人だ。
「差し入れにでも来ますよ。」
「奥様と?」
新巻先生がニヤリとする。
「妻を1人にしたくないんです。」
僕の本音を言う。
寂しがり屋のハコを1人にしたくない。
「なら、さっさと帰ってあげなさい。」
僕の背中を押して新巻先生が僕を保健室から出て行けと追い立てる。
「また…、来ます。」
新巻先生に頭を下げて校舎を出た。
正門までの道をゆっくりと歩く。
ハコが好きな桜並木は青々と葉を生い茂らせて夏の強い日差しを遮ってくれる。
出来るだけ…。
早く君の元へ帰るから…。
桜並木を見上げ、零れた日差しに目を細める。
教師として戦う。
それが正しいと信じる僕は公平が待つ車に向かってゆっくりと歩き出す。
それはハコの為なのだと信じて前に向かって歩くしかなかった。