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不器用な夫
第24章 融資
その涙を拭いながら僕はハコの顔を僕に向けさせて真っ直ぐにハコを見る。
「もうハコが卒業するまでは藤原家に頼るのを止めるつもりだ。」
涙を流し続けるハコが驚いた顔をする。
「公…平…さんが…、居るから?」
「そうじゃない、今はハコを妊娠させるのは教師として良くないと判断した。」
既に国松の妻になったハコからすれば僕の身勝手な言葉に感じるだけだと思う。
「なんで!?どうして!?ハコは要さんの子供を作る為に要さんと結婚したんだよ?」
「そうだけど、妊娠なんかしたら高校を休学する可能性も出て来るよ。」
「それでもいいよっ!学校なんか辞める事になっても構わないよ。ハコは要さんの奥さんになるんだから学校なんか関係ないもん。」
興奮に涙をボロボロ流すハコを落ち着かせようと抱き締める。
「それは違うよ。今はそれでいいと思うかもしれないけど…、いつか、きっと後悔する時が来る。だからハコが学校を卒業するまでは僕がハコを妊娠させるような事は出来ない。」
果歩は進学の手段として僕の愛人になろうとした。
それでも果歩は本気で妊娠をするつもりはなかったと言っていた。
10代で妊娠をするには身体への負担も大きい。
清太郎さんもハコはまだ若く、僕の性欲が高まるまでは焦る必要がないと教えてくれた。
その清太郎さんの言葉をハコに説明する。
「藤原家だって、そういう判断なんだよ。」
「嫌よっ!嫌っ!要さんが帰って来ないたびに独りぼっちで不安になるのなんか嫌よ。ハコに頂戴。ハコにだけ要さんの子供を下さい。」
興奮をして泣くハコに僕の言葉が届かない。
ハコが落ち着きを取り戻した時にもう一度話し合うしかない。
何度もハコの髪を撫でて顔中にキスを繰り返し、僕がハコの傍に居るのだとハコに感じさせてやるしか僕に出来る事はなかった。