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不器用な夫
第26章 迷子
公平はまだクスクスと笑ってる。
ハコはまだ膨れっ面のままだ。
結局、2時間もハコの文句を聞いただけで僕はハコのご機嫌取りに失敗した。
最後は母に呼ばれて僕も父と共に浴衣に着替えた為にハコとは話が終わってない。
ハコの不満は僕が一瞬で公平になら勃起するという部分…。
「だから、公平は…。」
「要さんの執事です。わかってます。」
屋形船に乗る為にと移動中の車の中で僕はハコと言い争う。
「なら…、今夜はお2人だけで…。」
と公平が余計な口を挟む。
「「駄目っ!」」
そこはハコと同時に叫ぶ。
「ハコだって僕に公平が必要な事はわかってるんだよね?」
「わかってるけど、わざわざハコの目の前でイチャつく事ないでしょ?」
どうやら公平はハコ公認の僕の愛人であり、その愛人とイチャつくのを妻であるハコに見せ付けたと怒りが治まらないらしい。
「公平とは、そういうのじゃないよ。」
「では、要さんのフェロモンが高まった時の性的処理はどなたがなさるの?」
「公平です…。」
「公平さんとの事は理解してるつもりだから許してます。だからってハコに見せ付けるのは…。」
「見せ付けてません!」
アタフタするしか出来ない。
僕は愛する妻に振り回されっぱなしの夏休み。
こういう経験は初めてだからドキドキする。
膨れっ面で僕に怖い顔をして怒るハコだというのに、僕はそんなハコでも可愛いと思う。
「ハコだけです。」
「要さんはそればっかり…。」
他に器用な言い訳が思い付きません。
「不安なの…、要さんにそういうつもりがなくても要さんの意思に逆らって要さんが迷子になるかもって思うから不安になるの。」
ハコが泣きそうな表情を見せる。