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不器用な夫
第3章 学校
ここは特別なお嬢様学校だから…。
気まぐれに授業をサボる子が少なくはない。
自宅に自分専用の家庭教師を持つ学生は出席日数だけの為に学校へ通う。
卒業だけすれば良い学校。
学校側もそれを踏まえた上で学生達にうるさく言う事はない。
両親が海外に居るのが当たり前の学生も居る。
家族と過ごしたいからと一週間以上を平気で休む子も存在する。
卒業をすればエスカレーターで短大が待つ学校。
その短大も満足に通わずに卒業する学生ばかりの学校で僕は敢えてハコの事を果歩に聞いている。
「茅野さんなら多分保健室だと思います。昼からずっと気分が悪いと言ってましたから。」
優等生の果歩がしっかりとした口調でそう答える。
「そう…、か…。」
それ以上を僕が言う権利はなく、僕は淡々と授業を進めていく。
「教科書の42ページからだったね。」
近々、期末試験がある。
その試験が終われば即座に三者面談を行い、夏休みに突入する。
夏休み明けは野外授業旅行…。
散々、夏休みに旅行を楽しんだお嬢様達を船旅で監禁するだけの学校行事を考えると僕は密かにため息を吐きたくなる。
「今日の授業はここまで…。後は三者面談の日程を保護者に連絡するのを忘れないように…。」
面談日程の決定の手紙を配りながら僕は終礼という作業をそそくさと済ませて教室を出る。
ハコはどこだ?
学校内でハコばかりを意識する姿を晒す訳にはいかないのだが、担任として一応はハコが居ると思われる保健室へと足を向ける。
「失礼致します。」
保健室の扉をノックしてその室内へ入る。
ここは女子高だから、何かと室内に入るには気を使う事が多い。