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不器用な夫
第30章 おかえり



勉強の合間に母親の仕事を手伝い、毎日のハコはクタクタになって眠るだけの生活だった。


「痩せたね。」


ハコの顔を撫でて聞く。


「そうかな?」


ハコは自分ではわからないと答える。


「それに綺麗になった。」

「要さんは変わってないね。」

「そうでもないよ。」


ハコが居なくなった夏休みはボロボロになった僕が居た。


「公平さんが早く帰りたいなら要さんの気持ちを理解しろって教えてくれたから…。」


ハコが少し照れた顔をするだけで僕はハコにドキドキとする。

可愛かった少女がもう完全な大人の顔をする。


「一緒にお風呂に入ろうか?」


小悪魔がニンマリと笑うと僕の視線が宙を泳ぐ。


「まだハコに慣れてくれないの!?」

「だって…、久しぶりに見たハコだし…。」

「ハコは要さんの奥さんなんだよ!?そろそろ慣れてくれても良くない!?」

「僕…、不器用ですから…。」

「そういう要さんが好きよ。」


チュッと僕の唇で音がする。


「要さんからのキスを待ってたら、全然してくれないんだもん。」


泣きそうな顔をするのも変わらない。


「もうハコの事は愛してない?」


ハコのそういう顔は嫌いだ。


「僕はハコしか愛せない。僕は不器用な夫だから…。」


ハコを引き寄せてキスをする。

この先もハコに心配を掛ける不器用な夫かもしれないけど僕は君だけしか愛せない。


不器用な夫でごめんなさい…。


そっと僕は妻に謝る。


「公平さんを呼び戻さなきゃ!?要さんだけじゃ勃起しないんだった!」


僕の妻がはしたない言葉を叫ぶ。

まだ僕の子を作る気満々な妻に今の僕は笑うしか出来ない。

僕は不器用な夫ですから…。




fine….

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