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不器用な夫
第4章 実家
ハコとマンションのエントランスを抜ければマンションの前には公平が僕の車のドアを開けてハコを出迎える準備をしてる。
「僕にはしてくれないくせに…。」
「坊っちゃまは嫌がりますから…。」
一言二言だけを公平と会話を交わしハコと並んで後部座席に座る。
後は公平の存在は空気のように掻き消され僕はハコだけを見てハコと話す。
執事を意識してたらキリがない。
ハコもそういう生活には慣れてる子だ。
「国松のお家までは?」
「5分もすれば着くよ。」
わざとらしく僕はハコの腰を僕に引き寄せてハコの頬にキスをする。
「要さん…。」
ハコがチラリと公平に視線を向ける。
やはり女の子は公平のような男が良いのだろうかと僕は自分に自信を失くす。
それでも僕はハコと上手く夫婦をやってるのだと公平に見せつけるようにハコの顔を撫でてハコの視線を僕に向けさせる。
「ハコは父さんとは既に顔馴染みの仲なんだろ?なら母さんは?」
「お義母様とは夕べかろうじて御挨拶だけはさせて頂きました。」
「そう…。」
「でも…、すぐに要さんのお宅に向かったのでお義母様が寂しそうにしておられました。」
ハコが姑に気を使う。
「母さんが寂しいのは僕のせいだ。」
母の事はハコが気にする事はないのだと僕はハコに言い聞かせる。
母が寂しいのはいつもの事だ。
母は呪われた国松家に嫁いだ犠牲者なのだから…。
僕は母の姿にハコを重ねてしまう。
ハコにはそんな思いをさせない。
全ては僕の決断次第なのだから…。
僕は何度もハコの顔にキスを繰り返してハコとのイチャイチャを公平に見せつける。
「もうっ…、要さんったらぁ…。」
初めて僕からまともに求愛を受けたハコが嬉しそうに甘えた声を出して来る。