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不器用な夫
第5章 愛人
マンションに戻るだけで脱力感を感じる。
「疲れたろ?ハコからお風呂に入っておいで…。」
僕と同じように疲れた顔を見せるハコ。
「要さんから…。」
ハコはまだ僕に気を遣う。
「ハコからで構わない。僕は試験の準備で少しやる事があるからね。ただし…、ハコ…。」
「はい?」
「夕べのような寝巻きはやめてくれ。」
「えーっ?なら要さんの好みは?もっとピンクでフリフリ乙女な感じ?それともお色気ムンムンの透け透け?一層の事、生まれたままの姿で要さんにハコの全てを晒します?」
冗談で言ってるのなら笑えるが、これを本気で言う16歳の少女に僕は笑えない。
「どれも却下だ。如何にもって姿で迫られたら僕は逃げ出したくなるんだよ。」
「なんで逃げ出すんですかぁ…。」
「なんとなく女性が怖いと思うから…。」
「ハコはそんな怖い女じゃありません。」
ハコが口を尖らせる。
不機嫌を表すハコの仕草だけは理解をした。
「いつものハコがいいんだ。普段通りのハコ。自然でハコらしいハコが僕は一番可愛いと思う。」
僕が今までで一番可愛いと感じるハコはセーラー服姿で僕が見慣れたハコだ。
僕の言葉にハコが少し嬉しそうな表情へ変化する。
「なら…、そうします。」
ハコが素直に風呂に向かう間に僕はリビングのソファーに座りノートパソコンを開いてテスト範囲の確認や授業調整の確認をする。
お嬢様学校じゃ、あまり重要視されない古典だからとテスト範囲は詰め込み過ぎず単位取得しやすいようにある程度の調整をする。
そこまでしてやってるのにハコは赤点ギリギリだ。
次の試験で完全に赤点ならハコの単位取得は難しくなると思うが、これ以上テストレベルを下げる訳にもいかないから、この週末はハコに古典の勉強を強いる事になるとため息を吐く。