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不器用な夫
第5章 愛人
心では間違いなく女性を愛してる。
なのに身体だけは男性を愛してる。
最悪なのは身体から発する特殊な分泌物。
いわゆるフェロモンというものだ。
国松家の男は興奮するとフェロモンを発する。
そのフェロモンが効くのが僕が愛する女性だけなら良いのだが女性よりも近くに居る男性の方がより強く感じるからタチが悪い。
僕がハコに興奮した。
慣れないハコは僕が放つフェロモンに僅かだが反応して失神した。
そして僕は迂闊にも公平を呼んだ。
今の公平は僕が出し続けるフェロモンに今は完全な反応を示してる。
あれは、幾つの時だった?
ぼんやりと考える。
初めて僕のフェロモンに公平が反応を示した日を…。
あの日、初めて夢精をした。
朝から気持ち悪い思いをした僕は東に学校へは行きたくないと駄々を捏ねて自分のベッドから出ようとはしなかった。
多分、小学生の高学年の頃だ。
そこへ公平が現れた。
僕に何が起きたのかと心配をした東が公平を寄越したのだ。
その頃の公平はまだ僕の遊び友達感覚で僕とは対等な態度で接してた。
「学校をずる休みする気か?」
「そんなんじゃないよ。」
「なら、なんでベッドから出ないんだよ。」
公平が無理矢理に僕から掛け布団を引き剥がそうとするから僕は必死に抵抗する。
「何を隠してんだよ…。」
公平が嫌な顔をする。
公平は僕にとって唯一の友人だ。
地味で痩せっぽっちの小さな僕はいわゆるガキ大将から目の敵にされてるような子供だった。
いや、今考えれば僕が発するフェロモンに反応したガキ大将は自分の興奮を止められずに僕にぶつけてたのだと思う。
そんな小学生の僕には公平だけが頼りの存在であり公平だけが信頼出来る存在だった。