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第14章 石井さんと

火曜日、私は滅多にしない寝坊をしてしまい、いつもの電車に乗ることができなかった。だから朝にＡさんと会うことができずに、なんとなく乗り切れない一日を過ごすことになっていた。

それにＡさんから、（どうしたの？）とか心配するメールが来ないこともショックだったし。

そんな午後の３時前くらいに廊下を歩いて応接室の前を通りかかった時に、不意にバタッとその扉が開いて中から石井さんが出てきた。

驚いた私はパッと後ろに身を引くとそんな私を石井さんはチラッと見て「あっ、ごめん」と言ったけれど、すぐに部屋の中を見て「どうぞ」と中にいる人を促したので私はその人の顔を見ないように視線を伏せて、そして人影が出てきたタイミングでサッとお辞儀をした。

その時に見えた靴、・・・！？、見覚えのある形、そして右側の先の色落ち、まさかと思って頭を上げてその人の顔を見ればやっぱりＡさん。

私は心臓が止まりそうなほどの衝撃を受けた。