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第14章 石井さんと

石井さんが連れて行ってくれたのは品の良い焼き鳥屋さんだった。

椅子の高いカウンター席だけのお店で、ここだけ切り取ってみればお洒落なバーでも通用する。

そういえば、Ａさんと初めて食事をしたのも焼き鳥屋さんだった。

ただ、こことは違った庶民的なお店だったと心の中でクスリと笑えて、それからつい笑ってしまったことを‘ごめんなさい’とＡさんに詫びた。

（私も、ああいうお店は好きですよ）と。

それにしても石井さんは見た目に似合って、お洒落なお店を良く知っているなと思う。

前に連れて行ってもらったボード・ゲームのバーもそうだし、ここもそう。

ついつい、このお店も須藤さんと来たのかなと思ってしまうと、自分で私ってクドイ女だなと思い自己嫌悪な気持ちになった。