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Aさん ~私を淫らにする人~
第5章 許したストーカー行為
そして私の手の上にソッとAさんの手のひらが重なってきた。

温かくて大きな男の人の手に包まれる初めての経験に、私はどうしていいのか分からずに体を硬くして恥ずかしさから手を見ないようにして下を向いているしかなかった。

次の駅の停止に向けて電車が減速していくけれど、繋いだお互いの手はジッとそのままでいた。

電車が停まり、背後で降りようとする人の動きに背中を押されてもこの手は離れない。

それから新しく乗ってきた人達に横に押し退かされても、前や後ろに押されても私とAさんはずっと隣同士で寄り添いそして人知れずに手を繋いだままでいた。そしてまた電車が走り出す。

ずうっと繋いだままの手。
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