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第1章 黒い暴行

４

さて、その頃でありました。

ところ変わりまして、勇一郎が勤務しているビール工場の倉庫にて…

勇一郎は、23年間ビール工場で箱の折りたたみの仕事だけで13万円の安月給でもグチ不満をひと言も言わずにコツコツとまじめに働き通していました。

そんな時でありましたが、ポン引き上司の男性が箱折りの仕事をしている勇一郎に『いいお話しがあるから…』と言いまして呼んでいました。

｢勇一郎さん…ちょっとかまんかな…｣
｢なんなのですか…今箱折りの仕事をしているのですよ…あとにしてください。｣
｢仕事の手を止めて悪いことをしたと想っているよう…すぐに終わるから…そんなに長くかからんけん…この通り…スマン…｣

ポン引き上司の男は、ヘラヘラした表情で両手を合わせながら勇一郎に『スマン…』と言うていたので、勇一郎は『分かったよぅ…』とやる気のない表情で答えていました。

２人は、自販機のコーナーに行きまして話し合いをしていました。

ポン引き上司の男性は、勇一郎に対して『23年間ビール工場で安月給でも文句ひとつも言わずにコツコツと働いているからえらいね…』と過度にほめまくったあと、勇一郎にごほうびを与えてあげようと言うたのでありました。