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今夜、妻が犯されます
第4章 後悔
ビールを飲みながら、恵理子の作った手料理で舌鼓を打ち、皆で盛り上がっていた。

勿論、娘の愛莉も一緒にだ。

それまで皆と楽しく話を弾ませていた愛莉が、不意にとんでもない事を言い出したのだった。

「ねえ、そう言えばさあ・・この前、佐伯のお兄さんがうちに泊まった時、お母さん、佐伯さんと口ケンカしてなかった?」

娘にしてみれば、何気ない素朴な疑問だったのだろうが、娘のその何気ない一言が実はその場にいた全員を凍り付かせたのだった。

一瞬、部屋の中に沈黙と静寂が訪れ、まるで時間が止まったかのように皆は動きを止めていた。

その中で、何の話かまるでわからない様子の大沢君と娘の愛莉だけが、固まってしまった皆を見ながら不思議そうな顔をしていたのだ。

「あ、愛莉・・何の話・・?私と佐伯さんが口ケンカをしてたって・・?何かの聞き違いじゃないの?」

恵理子がすかさず笑みを浮かべながらフォローした。

「ううん、だって・・お母さん、泣いてたよね・・?私、びっくりしちゃった」

「・・」

私と佐伯、そして恵理子の3人は顔を青ざめさせながら必死に言い訳の言葉を探していたのだった。

「お母さんが泣いてたの・・?お母さんを泣かせたのは佐伯のお兄さんだったの?」

大沢君が愛莉に優しく声をかけていた。

「うん、そうだよ」

「お母さんとケンカしていたのはお父さんじゃなかったの?」

「違うよ!だってお父さんは食堂で寝てたもん!」

この娘の証言で恵理子と佐伯は絶体絶命の危機に陥ったのだった。

「愛莉、だから・・それはあなたの聞き違いよ。私と佐伯さんは口ケンカなんかしてないわよ」

恵理子がやや引き攣った笑みを浮かべながら、愛莉に言い訳をしていた。

「そうだよ、僕はお母さんが大好きだし、口ケンカなんかしてないならね」

佐伯が笑って否定した。

「そうかなあ。だって、お母さん、本当に泣いていたよ。私、お母さんの泣き声が聞こえたから、心配して見に来たんだもん!」

心配して見に来た・・? 

まさか愛莉に全てを見られてしまったのか・・?

だが、私は客間のすぐ前で中の様子を伺っていたのだ。

愛莉が来たなら、私が気付いていた筈だ。

「愛莉、佐伯のお兄さんは私の可愛い部下だし、うちのお客さんなんだよ。お母さんがその佐伯と口ケンカする訳ないんだよ。きっと愛莉は寝ぼけていたんだよ」

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