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今夜、妻が犯されます
第4章 後悔
「でもね・・佐伯のお兄さんが来た日は、お母さん、いつも大きな声で泣いてたんだよ・・」

娘は正直に証言した。

娘の証言は、その場にいた大人全員を驚愕させ、凍り付かせたのだった。

「だ、だから・・泣いてなんかいないわよ。佐伯さんはお母さんを苛めたりしないもの」

恵理子は何とか娘の証言を覆そうと必死だった。

「そうだよ!愛莉ちゃん、僕はね、お父さんの部下なんだよ。だからね、お母さんを苛めたりしたら会社をクビになっちゃうよ!」

佐伯も横から口を挿んだ。

「でも・・じゃあ、お母さんはどうして泣いていたの?」

愛莉は真剣な顔付きで恵理子を心配そうに見詰めるのだった。

「佐伯が来た日はいつも母さんが泣いてたのか?」

私は2人を少し脅かしてやろうと思い、わざと話をややこしくした。

「うん、2階で寝てても聞こえたもん!」

愛莉がそう証言すると、まず恵理子が顔を青ざめさせたまま悲痛な表情を浮かべたのだった。

「恵理子、おまえ何か心当たりはあるか・・?」

私はそんな恵理子にわざと話を振った。

「いいえ・・な、何もありませんよ・・」

恵理子はすっかり青ざめさせた美貌を横に振って否定した。

「アハハ、だから、愛莉ちゃんの勘違いだよ」

佐伯が愛莉を言い含めようと横から割り込んで来た。

愛莉はどうしても納得いかない様子だったが、大人達に押し切られて最後には黙ってしまった。

娘の予想もしていなかった証言でいきなり絶体絶命の事態に陥り、すっかり冷や汗をかかされた佐伯は間もなく大沢と帰っていったのだった。

恵理子も相変わらず顔を青ざめさせたまま、疲れたから先に寝ると言って早々と寝室に消えていった。




リビングに一人残った私は、祝杯を挙げていた。

それもこれも、全て私の企てだった。

恵理子があれだけ甲高い悲鳴や声を上げていれば、ちょうど客間の真上で寝ている娘にも聞こえる筈だ。

そして私は、娘の部屋のドアを開け、客間の引き戸も少しだけ開けたのだ。

2階で寝ている娘に聞こえても何の不思議もなかった。

娘が心配して様子を見に来たと証言した時は私も驚いたが、そこだけは娘が寝ぼけていたものと推測した。

いずれにしても、恵理子と佐伯には大沢絵梨花という第三者の前で散々、冷や汗をかかせてやったのだ。

してやったり・・の心地だった。

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