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鳥籠
第1章 chapter 1 愛の巣の裏切り 偽りの苦と大義
 弓なりにしなったかと思えば、夫の頭をつかみ。強く押し付けた横顔で、枕のへこみを増やしたかと思えば、淫らな吐息が夫の耳をかすめ、汁を流させる。
薄桃色の下着の女と夫の情事が扉1枚隔てた寝室で行われていた。
 忘れ物が何だったかすら忘れ、パートの事務作業に使う机の上のホチキスと眼前のめくるめく情欲に満ちた行為とが交互にその瞳に写った。
 呆然、あるいは混乱、あるいは嫌悪感。そういった物が怒りと言う感情を瞬時に追い越す助けをし、怒鳴り込む前に私に大義を与えた。復讐という大義。不貞への怒りという大義。妻であり、母である私を女に戻す十分なものだった。
 見入り、女が2度ほど小さく果てた後私の決心は成され、欲情が解放された。何も考えられないほど強く抱かれ、愛撫に溺れ、まだ見ぬ夫以外の男の胸で女の悦びを感じたいと。
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