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第20章 最初っから、君だけだ

「ヒカリの姿を見せねぇで、ちゃんと説明出来んのか？そもそも会えんのか、本人に。避けられてるみてぇなもんだろ」
「ううっ……」
「男らしく、肚ぁくくれ」
「……う……ん……」

　ぐうの音も出ない。
　おっしゃる通りだ。
　それに、朔は全然関係ねーのに、俺の為に協力してくれてんだからな……俺の為を装って、実は姫ちゃんの為だがな……。

「……あ。ああ、違うか。そうじゃ無ぇな」
「あ？！何が？！」

　突然、朔が言葉を翻した。


「男らしく、って格好じゃねぇな……済まん。女は度胸だ、ヒカリ。」

「……今ぁヒカリじゃねぇわぁあああ！！」


　……男としてか、女としてか、それはともかく。

　そういう経緯で俺は現在、ヒカリの格好で、るりちゃんと向かい合って居るのだった。

　　　＊


「……ヒカリ……さん……？」

　るりちゃんは、まばたきを忘れたかの様に、目を見開いたまんまだった。

「……はい。」

「……かー……さん……？」

　見開いた目で俺をじっと見て、茫然と俺の呼び名を呟いた。

「……うん。」

「……ヒカリ、さん……が……かー、さん……？」

「……うん。……ごめんね、今まで黙ってて。」

　あああああ……目玉落っこちそうだよ、るりちゃん……！
　目の下に手を差し出したくなるっ……落ち着かない……！！

　それでも。
　茫然としてたるりちゃんは、少しずつ、茫然から立ち直って来て。


「………………ら……」


　俺とヒカリの名前以外の言葉らしきものを、ぽつん、と呟いた。