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MILK&honey
第20章 最初っから、君だけだ

*
「ただいまー」
「お帰りなさいませ」
荷物を持って、るりちゃんの手を引いて。
周りに誰も居ない事を確認して、コンシェルジュの黒田さんに挨拶をした。
三十分くらい前。衣装を着替えて、るりちゃんの待ってる部屋に戻った。
どこかの店で飯でもしながら話の続きをしようかと聞いたら、るりちゃんは、店じゃなくて家が良いと言ったのだ。居ない間に姫ちゃんに先に帰ると連絡したらしかったので、じゃあこっそり帰っちゃおっかと二人でタクシーで帰って来た。
るりちゃんは、着替えの後から、口数が少ない。タクシーでもほぼ無言だった。
でも、手は嫌がらずに繋いでくれてるから、怒ってるとか嫌われてるとかは、無いと思う……思いたい。
「……えーと……黒田さん?」
「何で御座いましょう」
るりちゃんと手を繋いで帰って来た俺にも、いつもと全く変わらねー対応。プロだね、プロ。
「……あの……もし出来れば、のお願いなんだけど……」
「はい」
俺よりも、巧や朔との方が親しい、慇懃なプロのコンシェルジュ。
「……ウチにっ……」
その人に無理目なお願いをする為に、一旦唾を飲み込んでから、口を開いた。

