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MILK&honey
第5章 名前、呼んだら駄目?

「落ち着いたら、ここに呼んでくれるって、言ったのに……」
るりちゃんが、くすんと鼻を鳴らす……
……え。
巧んとこに住むの、るりちゃん?!
エレベーターで会って「おはようございます」とか言われちゃうの?!
そしたら俺、毎朝エレベーターホールで上に停まるエレベーター待って、来たら降りるボタン押す!!それか一階のソファにずーっと座って、新聞読む振りしてる!!……どっちも不審者っぽすぎてクレーム付きそう。
「それは」
「……呼べないよね?彼女が居るもんね」
「えっ?!」
ちょ、巧さん?!
そんな女が、居たんですか!?
知らなかった……!!上手く隠したな……じゃねえよ!!
それじゃ、るりちゃん呼べないじゃん!!
「……誰に聞いた」
「さあ?」
「お前がそう思ってる子は、彼女じゃない」
「彼女じゃなくても、私と住めなくなってるんなら、同じじゃない!!」
雰囲気が、トゲトゲしてきた。
兄妹喧嘩は歓迎だが、トゲトゲするのは頂けない。トゲトゲした喧嘩だと、るりちゃんもトゲトゲする。そうなると、甘えてくれない。
俺は、少し考えた。
「あのー……るりちゃん?」
「何っ」
「……お兄さん?」
「なんでお前がお兄さんって呼ぶんだ」
ごもっともですが、今から言う事に緊張しているので、そんなこと気にして居られません。
「あのさ。るりちゃん、巧んとこがダメなら、ウチに来ない?」

