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依存
第4章 お腹が疼く
源心が有り得ないほどに目を見開く。
「来てるのか?」
怯えたような声を出す。
「はい、どうしますか?」
野原さんが少し困った顔をする。
「通してくれ…。」
「わかりました。」
野原さんが消えると源心が苦味を潰したような難しい顔をする。
「早苗…、コーヒーが飲めない人だからお茶の用意をしてくれ…、それから今日は遅くなる。」
それだけを言って源心は仕事に戻る。
仕事の相手が来たのだから仕方がないと私は思う。
源心に言われた通りにお茶を入れて社長室に持って行くと綺麗なワンピースを着た女性が仕事をする源心の隣に寄り添ってるのが目に入る。
応接用のテーブルにお茶を置いて
「失礼します。」
と言えば源心が
「ご苦労様、早苗は大翔に言って今日はもう帰っていいぞ。」
と源心が私を追い払う。
私の仕事は5時までの約束。
今はまだ4時前だ。
初めて見るその女性は私には全く見向きもせずに源心だけを見つめてる。
薄い紫のタイトなワンピースに真珠のネックレスをした大人の女性…。
長い髪を緩やかにカールさせて少し派手目のメイクをしたくっきり美人なのに、どこか弱々しく頼りない雰囲気を持つ源心にお似合いの人。
社長室を出て唇を噛み締める。
彼女が何者かなんかわからない。
ただ大人だというだけで許せなかった。
当たり前のように源心に寄り添う姿が腹立たしくて悔しかった。
彼女のような大人なら…。
私は堂々と源心の傍に居られるのに…。
彼女のような大人なら…。
私は源心に本物のSEXをして貰えるはずなのに…。
初めて知った嫉妬。
胸が痛くて苦い味がする。
あまりにもムカムカとして吐きそうだとも感じる初めての感情を無理矢理に抑え込み冷静を装うだけでも必死になる私が居た。