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依存
第5章 お腹が寂しい
「珍しいよな…。」
島崎さんが言う。
「ですよね。」
野原さんも同意する。
「何がですか?」
大翔さんが私を迎えに来るのは5時だからと私は島崎さん達と話をする。
「新庄さんがうちの会社にわざわざ来るのがだよ。」
島崎さんが説明してくれる。
「仕事の相手ですか?」
「彼女のお父さんが不動産王って人でさ、うちの会社の仕事の3割はその不動産屋のビルやマンションの設計って感じだよ。」
島崎さんの説明で源心には大切な取り引き先の娘さんなんだって事は理解する。
「けど、詩織(しおり)さんって…、先生の仕事には興味がない人でしょ?」
野原さんが意味深な顔をしてニヤニヤと笑う。
「詩織さん?」
「彼女…、新庄 詩織さん…、どうも先生とは大学時代からの付き合いらしいの。でも詩織さんは設計とか全然わからないからって、会社に来た事はほとんどないんだけど…。」
野原さんの意味深な言葉に島崎さんもニヤニヤする。
「そろそろプロポーズが欲しい歳じゃねえの?私と仕事のどっちが大事よ?とかなんとか。」
「あーっ!島崎さん、それって女性に対する偏見ですよ。年齢で結婚を求めてるとか。」
「でも、詩織さんって野原さんみたいなキャリアウーマンタイプじゃないじゃん?社長がプロポーズしてくれるまで私待ってますってしおらしく待つ女性とかやってたら社長が仕事仕事で相手してくれないから焦ってここに来たとしかおもえねえよ?」
意地悪に島崎さんと野原さんがクスクスと笑う。
私だけが笑えない。
「ねえ、早苗ちゃんは大翔さんと帰るんでしょ?」
「うん…。」
「なら、大翔さんに聞いてよ。詩織さんと先生ってどんな感じなのか…。」
野原さんも島崎さんも興味津々で大翔さんが一番詳しいからと私に言う。