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依存
第6章 お腹がいっぱい
「早苗はどうしてた?」
源心が私の事を聞きたがる。
お風呂から出て2人で裸のまま抱き合って私の小さな布団に潜り込む。
「源心の事を聞かせて…。」
「俺の事?」
「源心の事を知りたい。」
「話す事なんかねえよ。家族を飛行機事故で亡くして施設で育った惨めな男だ。」
源心が苦笑いをする。
源心の本音は源心に聞く。
「あの人は?」
「あの人?」
「詩織さん…。」
「ああ…。」
「まだ付き合ってるの?」
「詩織とは別れた。お陰で警察に嫌な話をする羽目になった。」
私の胸に顔を埋めて源心が唸る。
詩織さんとは大学で知り合った。
お嬢様の詩織さん。
施設で育った源心。
誰もが釣り合わないと言うから源心は必死だった。
コンクールで自分がデザインした建物を出品して才能を認めて貰えれば詩織さんに相応しい男になれると思ってたらしい。
「けどさ国内のコンクールじゃ、審査員に必ず詩織の父親が居るんだよ。」
源心がわざとらしくケタケタと笑う。
天才だと言われてもケチが付いた天才の扱いをされる日が続く。
ムキになり海外のコンクールにも出るようになる源心を今度は詩織さんが束縛する。
「別に今のままでもいいじゃない。大学を出たら父の仕事をすればいいだけなんだから…。」
詩織さんの為に成長しようとする源心を詩織さんが拒否する。
私が源心の為に早く大人になりたいと焦った時期がその時の源心と重なって見える。
「詩織とギクシャクして上手くいかない時に早苗を見つけたんだ。」
「私は響子さんの代わり?」
「始めはそうだったと思う。」
源心が私の乳首を拗ねたように弄り回す。