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家に桜の木が有るんだけど花見しないかと彼女を誘ってみた話
第3章 唇に、ひとひら

「ねぇ、して……?」
上目遣いと、舌足らずなお強請り。
これがわざとならあざと過ぎるが、こいつのは天然だ。
ほんとの馬鹿だ、何も考えていない。呆れる程自分の欲に忠実で、人を疑う事を知らない。よく今までこんなに馬鹿なまんまで生きてこれたと、感心する程だ。
「おねがい……うるさくしないからぁ……」
「……仕方ねぇな」
自分のヤッた事の責任を取るために、唇を塞ぐ。
下着に指をを引っ掛けてずらして、脇から無理にではなく真正面から、存分に嬲る。
彼女の片膝が曲げられて脚が体に絡み付き、腕が首に回される。
まるで、溺れかけた人間の様に。
「んっ……っ、ん、んっ!!」
キスしながら、くりくりと胸と下腹部のイイ所をキツく弄ってやると、ぎゅっと体に力が入って背が反って、力が抜けた。
「ふ……ぁ……」
「……可愛い面しやがって……お前、ほんっとエロいのな」
「……エロくなんか、なかったもん……」
胸を弄っていた手を、柔らかい両手で握られる。
彼女は指にキスをして、そのままぺろりと舌で舐め上げ、口に含んでちゅくっと吸い上げた。
「……この指に、エロくされたんだもん……」
ああ、確かに、そうだった。
初対面の時、色っぽくなれないのが悩みだとかなんとか言ったっけ。
「っんな事して……どの口がそんな事言いやがる」
「この口だよ?」
上気した顔でくすっと笑うと、手をこちらに返して、唇の端にちゅっとキスして来やがった。
「……それか、この口かもー……」
もじもじと脚を擦り合わせて、さっき締め付けて来た指をぐしゅぐしゅに濡れた所に誘って、溜め息を吐く。
今日で見納めの清楚な制服に包まれた、俺だけに開かれる淫靡な花。こんな女は、決して好みでは無かったというのに。
何をされても許せてしまうし、何をしても、抗わない。
体の相性が良いというのが……肌が合うというのがどういう事か、こいつに会って、初めて知った。
えらい女に、捕まっちまった。
「どの口も全部一杯にしてやるよ。……花見がちゃんと終わってからな」
花片が留まった唇に、約束の様に口づける。
ブランケットの下に溢れる露を湛えた花は、気持ち良さげにくふんと笑った。
【二組目 終】

