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家に桜の木が有るんだけど花見しないかと彼女を誘ってみた話
第5章 花は盛りに

「……私にとっては、可愛い幼馴染みだよ。あの頃も、今も、これから」
「黙って」
また、唇を塞ぐ。
これからもなんて、言わせない。
いつかその時が来たら、可愛い幼馴染みなんかじゃなくて、もっと今の自分達に相応しい関係性に変わってるって認めさせてやる。
「もう、戻ろっか」
「……ん」
目元を桜色に染めて、瞳を潤ませる彼女。
いつか、どんな物からも君を守れる自分になれたなら……それはもうすぐ、そこまで来てる筈なんだ。
君とずっと一緒に居ることを、世界中の誰にだって……君自身にだって、認めさせるような奴になる。
「どうしたの?行かないの」
「……持つよ、それ」
ブランケットと敷物を畳んで立ち上がった彼女から、荷物を受け取る。
そのまま手を握って歩き出したけど、彼女は入口に着いた時、さり気なくその手を解いた。
この手を解かせないで済む様な自分になるんだ……絶対に。
「……お花見誘ってくれて、ありがとうね。今年最後に見れたこの桜が、一番綺麗な桜だったかも」
僕が一番綺麗な物を、ずっと君に見せてあげる。
微笑む彼女と桜を見ながら、そう強く心に誓った。
【四組目 終・完】

