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遅すぎる初恋
第15章 すれ違い
最初に出張へ行ってから、出張へ行く回数が増えた。
どんなに忙しくても毎日電話をしてくれる。
それが離れてる間は幸せな時間。


『お疲れさま』

「お疲れ。今日はどうだった?」

『もちろん、無事に商談成立したよ』

「そっか。紫音ってやっぱすげえな」

『急にどうしたの?』

「別に……。ふと、思っただけだよ」

『和哉って時々すごい素直っていうか、可愛いこと言うよね』

「なんだ、それ」

『離れてるときはいつも以上に可愛いしね』

「か、可愛いのはお前だろ!」

『ふふ。オレは可愛くないよ。和哉は意外と甘えたがりだし、淋しがりだし、本当に可愛い。エッチしてるときは男らしいのにね』

「おまえ……よく」
『しお、ーーーどーーー』

電話越しに僅かに聞こえたのは女の人の声。
おそらく東雲さんの。

「今、どこにいるの? 泊まってるホテルのロビーとか?」

『いや、今は部屋にいるけど?』

何で、ホテルの紫音の部屋に東雲さんがいるんだよ。
しかもこんな夜も遅い時間に。
おかしいだろ。

紫音に限って浮気とかはないと思う。
思うけど……。

「ふぅん。俺、今日は疲れたから寝るわ」

『えっ? か、』

紫音が何か言おうとしたけど、それを無視して電話を切った。
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