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遅すぎる初恋
第21章 クリスマスデート
荷物を降ろして、宿へ向かう。
昔ながらの引き戸をカラカラと開けると、老夫婦が出迎えてくれた。
おそらくこの宿の経営者だろう。

「西園寺様。お待ちしておりました。お部屋は2階の201号室です」

鍵を渡され、2階へ行く。
部屋数はそんなに大きくなくて201号室は角部屋。
部屋に入ると思ってたよりも広くて2人で泊まるには贅沢なくらい。

「和哉、見て。今回オレがこだわったところ」

紫音の指差す方を見ると部屋の奥に露天風呂が見えた。

「すげえ!!部屋に露天風呂あるなんて贅沢!」

「ゆっくりと2人で入れるのが楽しみだね」

わざわざ耳元で色気含めて言うから俺の心臓はさらにドキドキが増して明日まで心臓が耐えられるかどうか本気で心配になる。

夕飯は部屋食で魚介がメンイ。
普段家でも外でもあまり飲まない酒を今日は久々に飲む。

「和哉は飲みすぎないでね。寝ちゃったら色々できないしね」

正面でジッと見ながら言うから、酔ったわけじゃないのにかぁぁっと熱くなる。

「付き合って半年経つのに、和哉の付き合いたてみたいな反応好きだなあ」

「どーせ、いつまでも慣れねえよっ」

何となく恥ずかしくて酒を一気に飲み干す。

「オレとしてはいつまでもドキドキしてくれるの嬉しいけどなあ。オレも和哉といるときはこれでもドキドキしてるしね」

そう言ってグラスを持った手を掴み、甲にキスをする。
やっぱり明日まで心臓かもつかどうか心配だ……。
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