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遅すぎる初恋
第9章 自覚
紫音をギューっと抱きしめる。
柔らかな髪が鼻先をくすぐる。

不安そうで、悲しそうだったのが驚きと泣きそうな顔に変わって、そんな紫音がすげえ可愛く思える。

「ヤバい。俺、紫音がすげえ可愛いって思う。紫音のこと、甘やかしたいし、可愛がりたい」

「……和哉さんって、想像を上回るよね。焦って動揺してる和哉さんが可愛くて好きなのに、たまに見せる男らしいところを今すごい感じてて、そんなところもすごく好き」

顔を上げた紫音がすごく綺麗で可愛くて、カッコよくて、俺たちはどちらともなくキスをする。

「紫音、ヤリたい」

ここが車の中だというのは十分承知してるけど、ずっと紫音と密着したままで、俺の欲望が象徴しっぱなし。

「オレも。でもさすがに、大の男が車の中だとキツイかな。オレの家、行く?」

「行く」

再びキスをする。
少し長めの深いキス。

離れ難い。

「和哉さん。そんな顔、しないでよ。少しの間だけ我慢してね」

そう言って離れた紫音が俺の座席を元の位置に戻し、運転席へ戻る。
シートベルトを締め、エンジンをかけた紫音がいたずらっ子のような顔で見る。

「オレの左手、空いてるよ?」

目の前でヒラヒラと振る手を俺は繋いだ。
指と指を絡ませる、恋人同士の繋ぎ方。
さっきとは比べ物にならないくらい、ドキドキしてる。

「そう言えば、指の感度がいいと全身の感度も良いって聞いたことあるんだけど、どうだろうね?」

不敵に笑う紫音にさらに心臓が高鳴って行く。
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