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遅すぎる初恋
第11章 言えないことと合鍵
初めて一目惚れして、告白して強引に初エッチをしてしまい、嫌われるかと思ったのに、数日後には「会いたい」って言ってくれた。

その瞬間は夢かと思った。
けど、耳にはっきり残る声に普段は滅多に乗らない車で迎えに行くことにした。

仕事終わりに家に呼ぶ約束したのを別の用事で潰してしまったオレは、和哉さんが誰といても怒れるはずもない。
実際オレも仕事終わり間際からの数時間、一人でいたわけじゃないし。和哉さんに連絡する雰囲気でもなかった。

彼氏でもないのに、怒れない。

頭ではわかってるけど、ワイシャツの襟元からはなかなか見れない位置につけたキスマークを見られた、オレ以外の男に告白されたことを聞いて、苛立ちが隠せなかった。

「こんなオレなのに受け入れてくれてありがとう」

隣で寝息を立てる和哉さんの髪を撫でる。
襟足長め、トップは短めの黒髪が隠されていた表情を表に出す。

「男女関係なしにモテそう」

どうか、
もう他に誰も和哉さんの魅力に気づかないでーーー。

オレは和哉さんの頭を撫で、隣に横になる。
寝顔を間近で見れば、24歳にしては少し幼くて本人は謙遜するけど、伏せられた睫毛は長めだし、肌もキレイ。
身体はフットサルをやってただけあって、細く見えるけどそれなりに引き締まってる。

「やだなあ。これからどれだけ不安になるんだろ。ずっと、オレだけのものでいてくれるのかな」

呟くように言うと伏せられた瞳が開かれる。

「……何言ってんだ。俺だって紫音じゃなきゃ嫌だし、他とか興味ねえよ」
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