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遅すぎる初恋
第14章 離れる
紫音の仕事が忙しくなり、東雲さんと行動を共にするようになってから数週間後。
2課課長より、少しの間、紫音は1課の仕事のみをすることを告げられた。これからは出張も増えるらしい。

俺は事前に紫音から聞いてたけど、不安が全くないわけじゃない。

「これから、出張で数日間家を空けたりすることが増えると思う。けど、離れてる間も電話するから」

夕飯のときに申し訳なさそうに言うから、一応年上としての余裕も見せたくて、「忙しいときは無理に連絡しなくていいから」なんて答えてしまった。

それを後ほどすごく後悔することになるとは思わなかったけど。


紫音と東雲さんに大阪出張が決まったのはさらに数日後。

仕事から帰ってきた紫音が夕飯食べた後、スーツケースに荷物を入れていた。

「出張?」

「うん。明日から3日間、大阪へ行ってくる」

紫音と出会ってからずっと近くにいて、離れるのは初めて。
荷物を詰めてる横に座る。

「ん? どーしたの?」

「紫音……」

「ん? 何?」

「……キスして」

最中でもないのにこの言葉を言うのは恥ずかしすぎるっっ!!

いつもは紫音がこういうことは言うから俺から言ったことはない。
理性がどっか行っちゃってるときは別だけど。

「えっ? 珍しいね」

そう言って、軽くちゅっとキスをする。

「よし、これで大丈夫」

俺は立ち上がり、リビングへと戻った。
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