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お良の性春
第4章  寝屋騒然 猛攻四十八手 新妻肉欲の目覚め
 一方、源一郎には源一郎の事情があった。
 今日は、道場に入るなり大あくびをかいて仲間の笑いものに・・・。

 (明日は学問所だ)

 道場なら木刀を振るえば眠気も覚めるが、学問所で先生の読む論語など聞いていたら、子守唄。

 さらに、稽古の後、同輩が見せてくれた春画が目の前に浮かんだ。

 抱き地獄やら宝船、仏壇返しに押し車・・・・・。
 春画に描かれた四十八手が気になってたまらない。
 あのような体位でお良とエッチが出来ると思っただけで、源一郎の気持はいやが上にも急くのであった。

 寝間着姿のお良を横目に、源一郎はウズウズと逸る気持を抑え難く、二つ並んだ枕を見ながら、さっそく布団の中へ。

 「お良、何をしている。早く来ないか」

 「まだご両親が起きています」

 せっかちな源一郎の誘いをいなして、お良はなかなか近づかない。

 「何が両親だ。親に遠慮がいるものか。俺たちは夫婦。早く来なさい」

 「そうは言っても、嗜みと言うものがございます」

 消え入るような声で拒んでみたが、お良の心にもう一つの戒めが浮かぶ。

 「従うべし 拒むべからず」

 慎むべきか、従うべきか・・・。

 迷うまでもないこと。ここは従うに決っていた。
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