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お良の性春
第1章 好色歌留多 裸地獄

少し話が前後するが、じつは、お良とお恵の間には源一郎を巡って熾烈な女の争いが繰り広げられていたのである。
もとはと言えば、源一郎とお恵は密かに心引かれ合う間柄だった。そこにお良が登場。物静かなお恵に代わって、源一郎の心は、いつしか快活なお良に傾く。
最初は仲良しのお良とお恵の関係も、男が入れば状況は一変。お恵の心にムラムラと嫉妬が生まれる。
「あんな町家の小娘に盗られてたまるか」
対するお良も同様。
「冗談は顔だけにして。武家の娘だからって容赦しないワ」
恐るべし女の嫉妬。
源一郎を得るためなら例え火の中水の中。腰巻一枚恐るに足らず。
源一郎にしてみれば願ってもない思わぬ展開である。否決覚悟の無謀な提案は、瞬く間に満場一致で可決成立だ。
男の助平心と女の嫉妬。この消すに消せない二大煩悩。
そこに追い討ちを掛けるように働く群集心理。
「赤信号みんなで渡れば恐くない」のであった。
ひとり冷静さを失わなかったしっかり者のお節も、急展開にオロオロしている育ちのよいお雪も、成すすべなく赤信号を渡っていく。
じつは、娘たちには油断があった。
お松の言葉通り、カルタ会では、男はいつも負け役。娘の方がよほど強いのである。
「負けっこないのだ。負けなければ腰巻なんて関係ない」
もとはと言えば、源一郎とお恵は密かに心引かれ合う間柄だった。そこにお良が登場。物静かなお恵に代わって、源一郎の心は、いつしか快活なお良に傾く。
最初は仲良しのお良とお恵の関係も、男が入れば状況は一変。お恵の心にムラムラと嫉妬が生まれる。
「あんな町家の小娘に盗られてたまるか」
対するお良も同様。
「冗談は顔だけにして。武家の娘だからって容赦しないワ」
恐るべし女の嫉妬。
源一郎を得るためなら例え火の中水の中。腰巻一枚恐るに足らず。
源一郎にしてみれば願ってもない思わぬ展開である。否決覚悟の無謀な提案は、瞬く間に満場一致で可決成立だ。
男の助平心と女の嫉妬。この消すに消せない二大煩悩。
そこに追い討ちを掛けるように働く群集心理。
「赤信号みんなで渡れば恐くない」のであった。
ひとり冷静さを失わなかったしっかり者のお節も、急展開にオロオロしている育ちのよいお雪も、成すすべなく赤信号を渡っていく。
じつは、娘たちには油断があった。
お松の言葉通り、カルタ会では、男はいつも負け役。娘の方がよほど強いのである。
「負けっこないのだ。負けなければ腰巻なんて関係ない」

