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熟女美紗  情交の遍歴
第6章 軋むベッド 情交の館 
 「で、どうなの、本当のところ、吉沢さんとの関係」
 「関係って…」
 「彼、奥様と別れる気あるの」
 「私にも分からないわ」
 「それでいいの…」
 「心配してくれてありがとう。彼が奥様でいいなら、私が彼を捨てるだけよ」
 「美紗は強いのね。それで、奥様が戻る可能性あるの」
 「さあ、どうだか…。絵里はどう」
 「どうって?]
 「結婚よ」
 「そのことなのよ。私のイライラの原因。岸川は堅物そうで意外と遊び人みたいなの」
 「へえー。どうしてそう思うの」
 「独り者のくせに、いろいろ知ってて…」
 「それって惚気…」
 「違うわよー」
 「それはね、オスの本能よ」
 「・・・・そうだといいんだけど」

 絵里は今夜こそ岸川の気持ちを確かめたいと思いを巡らせていた・・・。
 三〇歳を過ぎた絵里にとって、結婚願望を叶える最後の機会が岸川かもしれないのだ。
 しかし、岸川はノラリクラリしていた。
 絵里には、まともに結婚を考える男とは思えなかった。

 一方、岸川には副社長の娘との縁談を断った過去があった。
 その時あてがわれた副社長令嬢はいかにもはすっ葉娘。
 出世のためにそんな女を嫁にするほど岸川には出世への関心がなかった。
 結果が左遷。岸川は閑職をいいことにのんびりした人生を楽しんでいた。
 そこで出合ったのが絵里だった。
 だから、岸川も絵里との結婚を願っていた。
 しかし、絵里の態度はおよそ結婚とは縁遠く思えた。
 「結婚」を口にした途端、肘鉄砲を喰らいそうで言い出せなかったのだ。
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