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フリマアプリの恋人
第7章 秋桜の秘密
そして水曜日の昼下がり…澄佳は緊張しながら大学のカフェテリアの椅子に腰掛けていた。
…東京に出て来たのは五年ぶりであった。
柊司の勤める大学は、新宿から私鉄に乗り換え数駅のところにあった。
大学名が付いた駅で、駅前からすぐのところに広大なキャンパスが広がっていた。
若い大学生の男女が賑やかに行き来し談笑する中、構内のカフェテリアに入るだけでもドキドキした。
…部外者が利用して良いのだろうか…と心配したが、学生だけでなく近所に勤める会社員らしき人や老夫婦などものんびりランチを食べたり、コーヒーを飲んだりしていた。
その風景を見て、澄佳は一安心した。
ひとまず喫茶コーナーでミルクティーを注文し、窓際の席に着いた。
ほっと一息つくと、今度は自分の服装が気になり始めた。
…昼間に柊司の大学で会うということで、白い七分袖のシンプルな麻のブラウスにバーガンディチェリー色に白い水玉模様の長めのフレアスカート、クリーム色のフラットなバレエシューズ…。
長い髪はハンドメイドの革のバレッタで纏め、チェコビーズの苺色のピアス…といういでたちにしたのだが…。
…地味だったかしら…。
周りの女子大学生の流行りの服装やメイクを見て少し不安になる…。
…もう少し、しっかりメイクしてくれば良かったかな…。
ファンデーションにアイメイクを少し…口紅も桜色のグロスを塗った程度だった。
…ネイルもしてないし…。
自分の飾り気のない爪先をそっと見つめた。
…仕事柄、ネイルは出来ない…。
隣の席の女子学生の華やかなフレンチネイルに、気後れする…。
…馬鹿ね…。
もう三十なんだから、若い子と比べても仕方ないのに…。
自分の年甲斐のなさに苦笑する。
…と、その時…。
賑わうカフェテリアの入り口に、すらりと背の高い均整のとれた一人の男性が足早に現れ…澄佳は思わず眼を奪われた。
…東京に出て来たのは五年ぶりであった。
柊司の勤める大学は、新宿から私鉄に乗り換え数駅のところにあった。
大学名が付いた駅で、駅前からすぐのところに広大なキャンパスが広がっていた。
若い大学生の男女が賑やかに行き来し談笑する中、構内のカフェテリアに入るだけでもドキドキした。
…部外者が利用して良いのだろうか…と心配したが、学生だけでなく近所に勤める会社員らしき人や老夫婦などものんびりランチを食べたり、コーヒーを飲んだりしていた。
その風景を見て、澄佳は一安心した。
ひとまず喫茶コーナーでミルクティーを注文し、窓際の席に着いた。
ほっと一息つくと、今度は自分の服装が気になり始めた。
…昼間に柊司の大学で会うということで、白い七分袖のシンプルな麻のブラウスにバーガンディチェリー色に白い水玉模様の長めのフレアスカート、クリーム色のフラットなバレエシューズ…。
長い髪はハンドメイドの革のバレッタで纏め、チェコビーズの苺色のピアス…といういでたちにしたのだが…。
…地味だったかしら…。
周りの女子大学生の流行りの服装やメイクを見て少し不安になる…。
…もう少し、しっかりメイクしてくれば良かったかな…。
ファンデーションにアイメイクを少し…口紅も桜色のグロスを塗った程度だった。
…ネイルもしてないし…。
自分の飾り気のない爪先をそっと見つめた。
…仕事柄、ネイルは出来ない…。
隣の席の女子学生の華やかなフレンチネイルに、気後れする…。
…馬鹿ね…。
もう三十なんだから、若い子と比べても仕方ないのに…。
自分の年甲斐のなさに苦笑する。
…と、その時…。
賑わうカフェテリアの入り口に、すらりと背の高い均整のとれた一人の男性が足早に現れ…澄佳は思わず眼を奪われた。