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フリマアプリの恋人
第7章 秋桜の秘密
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「…柊司さん?
…ごめんなさいね。こんなに遅くに電話してしまって…」
…由貴子の声は小さく…弱々しいと言っても良いほどであった。
まるで怯えるような小さな声に、柊司はどきりとした。
「大丈夫ですよ、母様。
瑠璃子に何かありましたか?」
入院している妹の瑠璃子に急な事態が起こったのかと緊張したのだ。
「…いいえ。瑠璃ちゃんは大丈夫よ」
…暫くの沈黙ののち、由貴子はそっと口を開いた。
「…今日、澄佳さんにお会いしたわ。
…私がいきなり柊司さんのお宅にお邪魔したから、驚かれたと思うわ。
…ごめんなさいね」
沈んだ由貴子の声に、柊司は首を振る。
「いいえ、母様。母様は悪くないです。
僕が合鍵を渡していたのですから、いつ来ていただいてもいいのですから…」
…もっと早く澄佳の存在を知らせておけば良かったと由貴子のために後悔した。
「…ううん。私がいけないの。
合鍵をもっと早く柊司さんにお返しするべきだったわ…」
「…母様…」
カウンターキッチンのキーケースに置かれた合鍵を手に取る。
鍵に付いている青いベネチアンガラスのキーホルダーは、柊司が中学の短期留学でイタリアを訪れた時に由貴子に買った土産の品だ。
…ずっと大切にしてくれていたのかと、切なくなる。
「…澄佳さん、とても綺麗な方ね。
あんなに綺麗なお嬢さん…初めて拝見したわ。
綺麗で清楚で…でもとても女性らしくて…どこかしっとりとした艶めかしさがあって魅力的…」
…柊司さんにお似合いだわ…。
小さな声が付け加えられた。
柊司は一瞬、瞼を閉じる。
「…ええ。とても素敵なひとです。
…僕は彼女にプロポーズしました。
彼女もそれを受けてくれました。
…僕たちは、近いうちに結婚します」
…由貴子が息を飲む気配が伝わる。
何と残酷なことを伝えたのだろうか…。
けれど、いつかは伝えなくてはならないことなのだ。
…いつかは、由貴子への密やかな恋心と決別しなくてはならないのだ。
…ごめんなさいね。こんなに遅くに電話してしまって…」
…由貴子の声は小さく…弱々しいと言っても良いほどであった。
まるで怯えるような小さな声に、柊司はどきりとした。
「大丈夫ですよ、母様。
瑠璃子に何かありましたか?」
入院している妹の瑠璃子に急な事態が起こったのかと緊張したのだ。
「…いいえ。瑠璃ちゃんは大丈夫よ」
…暫くの沈黙ののち、由貴子はそっと口を開いた。
「…今日、澄佳さんにお会いしたわ。
…私がいきなり柊司さんのお宅にお邪魔したから、驚かれたと思うわ。
…ごめんなさいね」
沈んだ由貴子の声に、柊司は首を振る。
「いいえ、母様。母様は悪くないです。
僕が合鍵を渡していたのですから、いつ来ていただいてもいいのですから…」
…もっと早く澄佳の存在を知らせておけば良かったと由貴子のために後悔した。
「…ううん。私がいけないの。
合鍵をもっと早く柊司さんにお返しするべきだったわ…」
「…母様…」
カウンターキッチンのキーケースに置かれた合鍵を手に取る。
鍵に付いている青いベネチアンガラスのキーホルダーは、柊司が中学の短期留学でイタリアを訪れた時に由貴子に買った土産の品だ。
…ずっと大切にしてくれていたのかと、切なくなる。
「…澄佳さん、とても綺麗な方ね。
あんなに綺麗なお嬢さん…初めて拝見したわ。
綺麗で清楚で…でもとても女性らしくて…どこかしっとりとした艶めかしさがあって魅力的…」
…柊司さんにお似合いだわ…。
小さな声が付け加えられた。
柊司は一瞬、瞼を閉じる。
「…ええ。とても素敵なひとです。
…僕は彼女にプロポーズしました。
彼女もそれを受けてくれました。
…僕たちは、近いうちに結婚します」
…由貴子が息を飲む気配が伝わる。
何と残酷なことを伝えたのだろうか…。
けれど、いつかは伝えなくてはならないことなのだ。
…いつかは、由貴子への密やかな恋心と決別しなくてはならないのだ。
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