この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
フリマアプリの恋人
第7章 秋桜の秘密
小さな吐息とともに、優しい声が鼓膜に届く。
「…そう。それはおめでとうございます。
良かったわ…。
柊司さんは運命のひとに巡り会えたのね。
…今夜、お父様とお母様にご報告するわね。
柊司さんに素晴らしいお嫁様がいらっしゃいますよ…て。
…柊司さん。お幸せになってね」
「…母様…」
…口を開けば、別の言葉が溢れ落ちそうになる。
由貴子は今、どんな気持ちでいるのだろう。
…かつて、柊司と由貴子は想いを通わせ合い…堪え切れぬまま抱きしめ合ったこともあった。
その時に柊司の胸に滾ったものは明らかに母親への思慕ではなく、異性としての熱い恋愛感情であった。
由貴子もそうであったに違いない。
その切ない眼差しで、それは痛いほど伝わってきた。

…しかし、柊司は怖かったのだ。
亡くなったとはいえ父親を裏切り、親子の禁忌を侵すことを…。
だからその禁断の垣根を乗り越えることは、できなかったのだ。
…由貴子の自分に寄せる密やかな想いを知りつつも…。

…自分は卑怯だ…。
柊司は唇を噛み締める。
…けれど、今や由貴子にしてやれることは何もないのだ。
澄佳を愛してしまった自分には、もう為すすべがないのだ。

…だから、こんな風に全てに気づかぬふりをして、語りかけることしかできないのだ。

「…ありがとうございます。母様。
母様に祝福していただけることが一番嬉しいです」

…それが、何より由貴子を傷つけることを知りつつも…。

/332ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ