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フリマアプリの恋人
第7章 秋桜の秘密
…翌日から澄佳は店を開けた。
悩んで鬱々と家に篭っているより、仕事をしていた方が気が紛れるからだ。
柊司からメールは変わらずに来た。
朝の挨拶から始まり、講義の合間にさもない日常生活の報告など…。
こまめにさりげなくメールをくれる。
…けれど、澄佳は返事を返せないでいた。
愛しているのに…。
柊司の胸に飛び込めない。
…そんな自分が、メールのやり取りをする資格などない…。
そう思えてしまうのだ。
…けれどこんなことをしていたら、いつかは柊司に愛想を尽かされるのではないか…と思う。
メールの返事を返そうとスマートフォンに手を伸ばし…思い返して、ため息を吐く。
…まだ、何の決断もできていない自分が…一体何を語れば良いのだ…。
澄佳は首を振り、スマートフォンをエプロンのポケットにそっと仕舞った。
…今日も天気は雨模様だ。
漁師たちは家に引きこもっているらしく客足もまばらだった。
涼太は今朝早く、隣町の漁協まで青年会の仕事に出かけたらしい。
午後1時を過ぎ最後の客を送り出す。
…今日はもう閉めようかな…。
テーブルを拭きながら思案する。
…そうすれば、夜の仕込みも早くできるし…。
…その時、ドアのカウベルが乾いた音を立てた。
「いらっしゃいませ…」
反射的に振り返り、声をかけ…
澄佳は金縛りにあったかのように立ち竦んだ。
…目の前の人物が、ゆっくりと澄佳に歩み寄る。
「…久しぶりだね、澄佳…」
…信じられなかった…。
目の前に…あのひとが…
「…片岡さん…」
…また、現れるなんて…。
悩んで鬱々と家に篭っているより、仕事をしていた方が気が紛れるからだ。
柊司からメールは変わらずに来た。
朝の挨拶から始まり、講義の合間にさもない日常生活の報告など…。
こまめにさりげなくメールをくれる。
…けれど、澄佳は返事を返せないでいた。
愛しているのに…。
柊司の胸に飛び込めない。
…そんな自分が、メールのやり取りをする資格などない…。
そう思えてしまうのだ。
…けれどこんなことをしていたら、いつかは柊司に愛想を尽かされるのではないか…と思う。
メールの返事を返そうとスマートフォンに手を伸ばし…思い返して、ため息を吐く。
…まだ、何の決断もできていない自分が…一体何を語れば良いのだ…。
澄佳は首を振り、スマートフォンをエプロンのポケットにそっと仕舞った。
…今日も天気は雨模様だ。
漁師たちは家に引きこもっているらしく客足もまばらだった。
涼太は今朝早く、隣町の漁協まで青年会の仕事に出かけたらしい。
午後1時を過ぎ最後の客を送り出す。
…今日はもう閉めようかな…。
テーブルを拭きながら思案する。
…そうすれば、夜の仕込みも早くできるし…。
…その時、ドアのカウベルが乾いた音を立てた。
「いらっしゃいませ…」
反射的に振り返り、声をかけ…
澄佳は金縛りにあったかのように立ち竦んだ。
…目の前の人物が、ゆっくりと澄佳に歩み寄る。
「…久しぶりだね、澄佳…」
…信じられなかった…。
目の前に…あのひとが…
「…片岡さん…」
…また、現れるなんて…。