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フリマアプリの恋人
第7章 秋桜の秘密
「澄佳さん!わあ!どうしたの⁈
お見舞いに来てくれたの?」
病室を覗くと、瑠璃子が驚いたように大きな眼を見張った。
「…ええ。突然来てごめんなさい」
詫びながら、部屋を見渡す。
「…あの…、柊司さんは…?」
「あれ?柊ちゃんと待ち合わせ?
柊ちゃん、講義があるって今さっき帰ったんだよ」
肩の力が一気に抜ける。
「…そう…なのね…」
柊司に会えないことは残念だったが、少しほっとしている部分もあった。
…まだ、心の準備が完全には出来ていなかったのだ。

それに…。
…澄佳には気掛かりなことがあったのだ。

瑠璃子に向き直り、静かに尋ねる。
「…瑠璃子ちゃん。
あのね、少し聞いてもいいかしら?」
「うん。いいよ。なんでも聞いて?」
「瑠璃子ちゃん。…学校に行きたい?」
瑠璃子の貌が不意に強張った。
「ごめんね。答えたくなかったら、答えなくていいのよ。
でもね、瑠璃子ちゃんの本心を知りたいな…て思ったの」
瑠璃子が退院間近になって心が揺れ動き、自殺未遂騒動を起こしたことは柊司から聞いていた。
学校が怖い…友だちや知人に会うのが怖い…。
悩み、思い詰めた瑠璃子にずっと心を痛めていたのだ。

瑠璃子は暫く黙り込んでいた。
ややあって、決意したようにブランケットを握りしめ、澄佳を見上げた。

「…本当は…学校に行きたい…。
お勉強もしたいし…友だちにも会いたい…バレエのお稽古もまたしたい…」
…でも…。
人形のように整った愛らしい貌はすぐに伏せられる。
「…前の学校は怖いの…。
だって皆んな、過去の私を知っている。
皆んながそのつもりじゃなくても、私を嫌っているような気がする…。
影で悪口を言われているような気がして、怖いの…」
…ネットの掲示板での悪意ある書き込みが、こんなにも深く少女の心を傷つけていたのだ。
澄佳の胸が鋭く痛む。

「…そう…」
澄佳は、瑠璃子の小さく白い手を握りしめた。
そっと穏やかに声をかける。
…ずっと考えていたことを、瑠璃子に打ち明ける。
「…あのね、瑠璃子ちゃん。
私の町の学校に転校してみない?」

瑠璃子の肩が驚いたように揺れ、すぐさま貌が上げられた。
「…え…?澄佳さんの町の…?」
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