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御主人様のお申し付け通りに
第15章 譲れないワガママ
設置された洋服タンスに、私は自分の洋服を入れる。

「他にいる物が有れば、言えよ」

「何で…」

「えっ?」

何で、こんなポリシー貫く私に優しくすんの?

あんまり優しくされると、ポリシー砕かれちゃう。

人間なんて、みんな死ぬ時は一人なのに。

こんなんじゃ、強くは生きられなくなる。

永田に優しくされると、心が砕かれて弱くなっちゃう。

「永田は私みたいな女に、よくそこまで尽くせるよね」

「俺はおまえとは、真逆な考え方してるからな」

永田は、真新しいタンスを触りながら、続けて言った。

「好きなモノには、自分の全てを費やすし、時間も何もかもを犠牲にしてもいいと思ってる。宝物は常に磨いておかなきゃ、宝物の価値がなくなるからね」

「やっぱり分からない。私は自分自身が宝物だから。自分のためにしか、生きて行きたくない」

「トシコがそうしたいなら、そうしていれば?でも俺はトシコと同じようには為れないな。だから、俺はトシコを大切にする」

永田は、私の頭を撫でる。

「いいよ、おまえはおまえで好きに口に出して、なめた事をほざいてたら」

なめた事か。

鼻で笑っちゃう事なんだ。

私の言葉は。

「永田はどう思ってるの?いつも私ばかりが本音を言って、永田の本音を聞いた事がない」

「俺かぁ?」

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