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御主人様のお申し付け通りに
第10章 はっきり言わして貰うが
まだかまだかと。

早く早くと。

相変わらずマメに、永田は何度も私のアパートの部屋の扉を叩きに来る。

「ちょっと、もうマジに俺の部屋に来いっての!」

「なんでぇ!もう後少しくらい、自分一人の時間を味わったっていいでしょがぁ!」

仕事で人の中に埋もれて、疲れて帰って来て、ごちゃごちゃその後言われたり、やったりしたくないんだっての!

本当なら夕飯の支度だって面倒なのに!

お腹がすくから、仕方なく自分のためにやるの!私は!!

「荷物早くまとめろ!」

永田は勝手に部屋の中に入って来て、タンスから無理矢理に服を引っ張り出す。

「あと何日しかないのに、こんな有り様で俺だって、どう荷物を運んでやればいいんだよ!」

「うるさーい!うるさい!うるさい!」

私は永田の背中をバシバシ叩く。

「おまえ何でもギリだろ?いつも焦って物事決めるタイプだろ?おまけにダラシねぇ。更にはその結果を、自分は悪くないとか言って、世間のせいにするんだろ?」

永田は殺気立った、キツーイ目で睨んできた。

負けるもんか、こんな奴に。

「違うわい!見くびらないで!」

「見くびる!極めてバカで分かりやすい」

絶対に負けない!

否定されても!絶対に怯まないよ!

「あんま意味わかんねぇ事をぬかすと、俺はマジに怒って追い出すぞ!」

……ううっ!!

私の腕を掴んで、更に顔を近付けた。

…怖い顔。

うわぁ…お、怒ってる。

追い出すとか言われたら、言い返せない。

「じゃあ、今夜から永田の隣りでニャンニャンしちゃおっと♪よろしこー☆」

手のひら返して、嘘ブリッコをかましてやった。

バカかって。

「よしよし」

…チュッ…

あ、キスした。

「俺の言う事は、絶対この先聞いて行動した方がいいぞ。自分の首を締めたくなければトクにだ」

私の頭を撫でられた。

なんだ、おまえは。
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