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第10章 はっきり言わして貰うが

大きなビニール袋に、洋服や下着を詰め込んで、永田は両手で抱えて運び出す。

「ねぇ、永田ぁ」

「なんだ」

「永田は本当に私の事好きなの？それとも、やっぱり都合いいペット？」

「都合いいペット」

私はまた大袈裟にズッコケる。

おいおい。

「でも厳選した中の、好みのモノしか俺は手元には置かん」

お爺さんが確か言ってたな。

「宝物は大切にするタイプなんでしょ？」

「そうだな。おまえの宝物はなんだ？」

私の宝物？

「私の宝物は私自身だよ。当ったり前じゃん」

永田は溜め息を付いた。

「まぁ、俺の一番の宝物も俺だろうけど。その俺が厳選して、手元に置いてある全てのモノも宝物だ」

まわりくどーっ。

私は耳の中が、こそばゆくなった。

「…トシコもだ」

…はぁ？！

私は永田にドカドカと近寄って、上から下から見てやった。

「今、なんつった！？」

「さぁ」

天井を見て、わざと惚けてる。

「…前から思ってたんだけど。出来ればもっと簡単に言ってくれないかな？」

「女子の大好きな想像力で考えてみろよ」

「あぁーもぉ！私は面倒臭いの嫌いなの！」

私は永田を見上げた。

「…チッ！…ったくさぁ…大人同士なんだから理解しろっての」

「理解するのには、もっと導いてくれないと理解出来な～い」

言わしたろ。

絶対にコイツの口から、ハッキリと言わしたろ。

「…トシコが好きなんだよ」

よっしゃー！

何か永田に初めて勝利した気分。

「クソッ…何か悔しい…クソッ！」

永田ってば、恥ずかしいから舌打ちばっかしてやんの。

可愛いぞ、永田ぁ。

イエス！イエス！イエース！！