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白い指先と甘い吐息
第8章 翳りゆくとき
その日の夜は土砂降りの雨が降っていた。

誰もいないバッティングセンターでバットを振りながら、貴史は声をあげて泣いた。

なつみの名前を呼びながら、腕が上がらなくなるまでバットを振り続けた。


貴史の心は欠けてしまった。

その破片がみつからないまま、それでも前に進まなければいけないと考え始めていた。
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