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白い指先と甘い吐息
第8章 翳りゆくとき
仕事が終わった後、貴史が美香を呼び止めた。

「美香さん、少し時間いい?」

「はい、もうあがれます」

後片付けをアシスタントに頼み、美香は貴史と二人で部屋にいた。



「美香、コンクールの話なんだが、申し訳ないが今回の本選への出場を辞退しようと思ってる。」

「どうしてですか?今回は自信作なのに・・・」

「やっぱり俺は、どうしても美香とは結婚できない。別れてほしいんだ。別れた後の事は美香に任せるけど、そうなるとコンクールは白紙に戻した方がいいんじゃないかと思うんだ」

美香は理解できなかった。なぜ貴史がそんな結論を出したのか。

どうしてなつみに、そんなにこだわるのか。

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