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歳下の悪魔
第2章  天使と悪魔


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「優華先輩。おはようございます!」
 課に行くと、和真の明るい声。
 昨夜は結局7本で許してくれ、彼は帰って行った。
 二日酔いというほどじゃなかったが、色々な意味で頭が痛く、午後からの出勤にしてもらい今着いた所。
「優華―。オッハヨー」
 ロッカーへ行くと、美月が入ってくる。
「ねぇ。最近の優華、おかしくないー? 何かあれば、相談してよー」
 美月とは10年の付き合い。普通の悩みなら話せるが、今回は絶対に無理。
「ううん。何でもないよ。元彼のことを、引きずってるだけ」
 自分から、わざとそう言っておく。
 本当は和真のせいで、元彼のことは忘れかけていた。怪我の功名と言いたいが、今の状態の方が悪夢のようだ。
「そう? それなら、いいんだけど。歓迎会の時はゴメン。私が、呑ませちゃったからー」
 美月はすまなそうに言うが、呑んだのは自分自身。勧められたのが美月なら、断ることも出来た。でもあの時は本当に元彼のことで、ヤケになっていたのも自分で分かっている。
「そんなこと、思ってないよ。それよりごめん。午後出になっちゃって。昨夜から、急に腕が痛くなって」
 会社には、午前中病院に行くと言っておいた。だから今日は、包帯を巻いている。
「手首、どうだったのー?」
「ん。ただの捻挫だって。湿布と鎮痛剤が出ただけ」
 白衣を羽織って言い、ボタンを閉めながらデスクへ向かった。
 でもこれで、跡が消えるまで包帯でごまかせる。
「優華ちゃん。大丈夫?」
 書類を持って歩いていた敦子にも言われ、美月へと同じ説明をした。病院についてだけ。
「優華先輩、大丈夫ですか? 俺、先輩の分も働きますから。何でも言ってください」
 和真は、昨夜とはまるで別人のよう。もしかしたらそっくりな双子かもしれないと、あり得ないことを考えてしまう。
「食品分析は、終わった?」
 嫌な思いは隠し、私も会社での顔になる。
「後少しです。もう、しっかり覚えましたから」
 その時ピーという音が鳴り、頭を下げてから、和真は機械の方へ行った。
 溜息をついてから、書類とパソコンの確認をする。
 私1人いないだけで、いつもより残っている仕事が多い。みんなに悪いと思いながら、作業を始めた。


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