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歳下の悪魔
第2章  天使と悪魔


「和真くんも行く? 個室だけの居酒屋だけど、食べ物も色々あるよー」
「はい。是非、連れてってください」
 和真も行くことになり、私はドキリとした。
 でも美月がいれば、変なことは出来ないはず。それでも、何となく嫌な気分が込み上げてくる。
「3人決まりー。他に行く人はー?」
 美月が他のメンバーを見渡した。
「すみません。僕はいいです」
「私も。たまには早く帰らなくちゃ。ここのところ、主人にレトルトばかりだったから」
「私もそうするよ。たまには家族サービスしないと、家内に怒られるからね」
 守に続き、敦子も太田にも断られてしまった。出来るだけ人数の多い方が、和真と話さなくても良くなるのに。
 課長は、いつものように気を遣って来ない。
「じゃあ、3人で出発ー!」
 美月から送れないように歩いた。エレベーター前でも、和真とは反対側の美月の隣に立つ。
 わざとらしくないように、会社では彼を避けたい。明らかに分かれば、美月が心配してくるだろう。その理由なんて説明出来ない。
 殆ど、電車のラッシュと変わらないエレベーター。箱は大きいが、30階のビルで二基しかない。
 美月と話していたら和真の前になってしまい、太ももを揉まれた。
 誰にも気付かれないように、私は平然とした顔でいるしかない。


 会社を出て電車を使い、目的の居酒屋に着く。途中で美月が予約を入れてくれたから、すぐ個室に通される。
 その間は何もなくて、心底ホッとした。
 美月はいつも通り、タッチパネルの隣。取り外すことも出来、すぐに自分の呑み物を選んでいる。
 私はその隣に座った。和真は、向かい側の中央に座る。
 美月が和真を天使だと言ったのは、仕事が楽になることも含まれているだろう。人数の少ない課への、救いの神と言ったところだろうか。確かに会社での和真は、好青年と言える。仕事にも一所懸命だし、人当たりも良い。
 そんな彼が、何故私を辱めの対象にしたんだろう。
「私、ラフランスサワ―。優華は?」
 美月は店の目新しいものを呑むのが好き。たまに失敗もある、チャレンジャー。


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