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歳下の悪魔
第3章  新たな顔


 コンサートは平日が多くて行く時間はないが、CDは欠かさず買っている。
「へえー。俺も。昔の曲も、CD集めたよ。今も買ってるし」
 このバンドは、去年結成10年目だった。10年前というと和真は十二歳で、私は入社した年。改めて、歳の差を感じた。
 そのバンドの話をしていたから、道中はあっという間。
「着いたよ。俺、車で待ってるから。早めに着替えてきて」
「うん」
 少しホッとした。
 私は急いで部屋へ行き、服を洗濯カゴへ入れた。下着も洗われているから、このままでいいだろう。
 和真は長袖のTシャツにジーンズだった。私が着飾る必要もない。
 スカートだと、中を触られる可能性もある。車中で少しは打ち解けたが、まだ警戒は解けない。
 私もジーンズにし、長袖のブラウスを着た。髪をセットしていると、時間がかかる。あまり和真を待たせ、機嫌を損ねたくなかった。
 後ろで1つの三つ編みにして、後れ毛を作る。普段使いのバッグの中身を確認してから、タオルハンカチをもう1枚入れる。
 今日は日差しが強かった。日焼けはそう気にしていないが、汗を拭く為。どこへ連れて行かれるのかは、まだ分からない。
 急いで車へ行くと、和真が窓を開ける。
「えー。ジーンズなの? スカートにしてきてよー」
 仕方なく部屋に戻り、足首まであるスカートに着替えて戻った。
「ん。その方が、そのブラウスに似合うよ」
 ファッションを気にしていたのか、何か目的があるのか。
 それでも私は、和真の奴隷。言うことを聞かなければ、何をされるか分からない。
「じゃあ、行こうか。乗って」
 頷いてから、助手席に乗りシートベルトをする。
「あの……」
「ん? 何?」
 車を走らせている彼が、チラリと私を見た。
「どこに行くのかって? 気になる?」
「うん……」
 私は頷いたが、和真には見えていなかっただろう。
「いい所。楽しみにしてて」
 それは彼にとってのみの、いい所なのだろうか。
 それ以上は訊けず、私は流れる曲を聞いていた。


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