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虜 ~秘密の執事~
第1章
榊がよかったな……」
あの広い胸の中に抱かれて、自分の全てを彼に捧げたかった。
叶わぬ夢を抱えた胸がチクリと痛みを訴える。
(馬鹿ね、椿……もう吹っ切れたはずなのに……)
涙が溢れそうになるのを、椿は突き抜けるような空を仰いで誤魔化した。
榊とギクシャクとして過ごした七月。
そして八月――椿の運命を変える事件が起こった。
その日も椿は勉強の合間に榊に許しをもらい、カウチで昼寝をしていた。
その様子を安曇の得意先――近藤エージェンシーの若社長が熱っぽい目で見つめていた。
一月前、安曇邸にて行われた夜会で椿のことを垣間見て以来、ずっと頭から離れなかった姿が目の前にある。
父が商談で安曇邸に訪問すると分かり、無理を通して同席させてもらったが、まさか本当に椿に会えるとは思わなかった。
紺色のシャツワンピースの裾からすらりと伸びた白い足が、血管が透けて見えてしまいそうなほど美しくて目をそらせなくなる。
椿のいる窓際まで歩み寄ったが一向に起きる気配はない。
近藤は華に吸い寄せられる蜂のように自制心の利かぬまま、椿の太ももに自分の掌をそっとあてがった。
もし起きてしまったとしても、直ぐ離れればバレない筈……そんな自分の浅はかな考えに励まされる様に、近藤はさらにスカートの奥のほうに侵入を試みる。
しっとりと掌に吸い付くきめ細かい肌。
我慢出来ずに傍らに跪き、白い太ももにそっと口付けると弱く吸い付いただけなのに、その柔肌は紅く充血してしまう。
それはまるで本当の華のようだった。
熱に浮かされたように自分を抑えられなくなった近藤は、自分のネクタイで眠ったままの椿の両腕をそっと後ろ手にくくる。
シュシュっという衣擦れの音だけが広い部屋を満たしていた。
その時近藤の目に自分の腕時計が入る。
手洗いに行くと言い席を立ってから、もう十分が経過していた。
早く戻らないとさすがに誰かが探し始めるだろう。
このまま椿の白い肌をじっくりと堪能したかったが、そうもいかず、近藤は椿のショーツを慎重に指でずらした。
あらわになったそこは貝が蓋をする様にぴったりと閉じられていた。近藤は両足を掴んで固定すると、椿の中心に舌を這わした。
「う……ん」