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欲望の行末 ~愛しのアンドロイド~
第2章  

絢は携帯電話を顎と肩で挟むと、両手で祐二の瞼を開いてみる。

瞳孔は入ってきた光に反応し、きゅうと収縮した。

「瞳孔は収縮したよ!」

『ああ、じゃあ大丈夫だ。頑丈に作ってあるからね。もう一度、おでこのボタンを長押ししてごらん?』

「う…うん……」

指示された通り、恐る恐るおでこの真ん中を押すと、ピーという音が鳴る。

長めに押してから離すと、それと同時にゆっくりと祐二の瞼が開かれた。

「祐二さん!! 大丈夫?」

「絢様? 大丈夫ですか、どこか打たれましたか? 顔色が悪いですよ?」

祐二は何事もなかったようにすくっと上半身を起こすと、心配そうに絢を覗き込む。

「わ、私は大丈夫。祐二さんが助けてくれたから」 

『絢、三号に代わってくれないか?』

電話の向こうからの父の声に、絢は携帯電話を祐二に渡す。

「はい。教授お久しぶりです。ええ、大丈夫です。ご心配をおかけして申し訳ありません」

二人はその後いくつか確認をしていたらしかったが大丈夫だったらしく、電話は切られてしまった。




「直美~聞いて、昨日、超大変だったの!」

「うん? 着替えでも覗かれた?」

真面目に話そうとする絢に、直美がそう茶化す。

「違う! 祐二さんが階段から落ちた私を庇って、頭打って失神しちゃったの」

「え~っ!? 大丈夫だったの?」

口を大きく開いてびっくりして見せた直美に、絢は頷く。

「うん。大丈夫だったみたい」

「みたいって?」

直美の追及に、絢は困惑する。

「なんて言ったらいいのか分からないんだけど……見た目は普通なんだけど、なんかより世話焼きになったというか、お節介になったというか……」

「へ? いいじゃん。楽できて」

「そんなことない。直美だってちょっとめんどくさそうって言ってたじゃない。それに輪をかけてうざくなってきたんだよ?」

絢は眉をハの時にする。

「あ~それはさらに絢パパに近づいた感じだねえ。せっかく親から離れて羽伸ばせてるのに、そんな監視役いたら、親がいるのと変わんないね」
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